空中のワイパーをそのまま格納したらボンネットが削れたので直した/MX-30

2022年6月13日クルマ

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▲ヤラカシター

洗車などでワイパーを立てた状態でフロントガラス上に戻すことなくワイパーを格納しようとするとボンネットのエッジ部分と自分のメンタルがごっそり削れるのでやめよう、絶対にやめよう。

ヤラカシター(何回目だ)

洗車して、拭き上げまで一通り終わってワイパーを片づけようとしたら……フロントガラス上に戻すのを忘れていた。

ワイパーをフロントガラス上に戻さずに空中に浮かせたまま格納動作をしたらどうなるか?見たことがある人にとっては思い出したくもない地獄絵図である。見たことない人に向けて説明しておくと、ワイパーは自分がどこにいるかなど考えもしないので、その状態からでも元の位置に戻ろうとする。フロントガラスの下に向けて空中から相当な勢いでバン!と倒れる。その道中どことも接触しなければ無傷で済むけど、うちの場合はボンネットの端をガリガリ削ってあるべき位置に戻ったのが半分、もう半分はガリガリ削ったままワイパーアームがボンネットの上に引っかかって停止した。

ほんの一瞬の出来事だったけど、あの瞬間の記憶が無い。その直前とその後の呆然自失となったところからは記憶があるけど、正直そっちもついでに忘れてしまいたい。

念のために書いておくと、ワイパーを立てるためにエンジンを切ってスイッチを操作してガラスの上に出した状態でエンジンをオンにすると、メーターパネル状にワイパーを戻してから操作するようにという警告メッセージは表示される。警告メッセージを出してくれるのはありがたいんだけど、世の中のうっかり性能が高い人間というのはそれすら見落とすので、もうアラート音鳴らしてくれてもいいとマツダのえらい人には言いたい。なにせそのメッセージが出ることに気づいたのがこのやらかしの数ヶ月後だった。

助手席側は何事もなかったかのように元の位置に戻ったものの、運転席側はボンネットの上に乗っかるようにな状態で止まっていたので、まずそれをボンネットから除けるところからスタート。写真があれば良かったけど、そんな状況で「これはブログのネタになるぜ」と思うほど鋼のメンタルは持ち合わせていなかった。とにかくあのワイパーがボンネットに引っかかっているところを想像してもらったらそれで多分正解。そしてこれを外す方法なんて取説に書いてあるわけがない。どうするか考えて、結局力づくで浮かせて外すしか無かった。「これで良いのか?」と思いながらの作業を、買って半年も経たない車にするのはなかなかメンタルに効く。もう十分やらかした後だけど。

ワイパーを両方戻してから一応動作確認をしてみた。普通に動いた。最初からこういうことが起こることまで想定して作られているのか、見た目のインパクトの割に問題はなさそうだった。ガラスも見た感じ傷は入っていなかった。ボンネットに当たることでガラスに直接衝撃が行かなくて無事だったのかもしれない。

ワイパーは無事、ガラスも無事、傷を負ったのはボンネットのエッジ部分のみ。写真で見ると大したことなさそうに見えるけど、指で触ると明らかに段差がある。1mm以上は明らかに削れていた。ちなみに削れた塗膜はカンナをかけたようにくるくる丸まってそのへんに転がっていて、擦ったくらいの傷じゃなくて完全に「削った」というのが正しい。場所によっては下地のメッキの更に下、おそらく鋼板?鉄板?のところまで見えていた。ワイパーアームはなかなか切れ味が鋭い。

梅雨シーズンだったので放って置いたら速攻で錆びるに違いない。さっさと埋めよう。

ちなみにこの時はすっかり忘れていたものの、ボンネットと当たったワイパーアーム側にも当然傷が入っていて、半年以上経ってから埋めた頃にはやっぱり錆びていた。傷を埋めるならお早めに。

タッチアップで補修作戦

タッチアップペン
▲純正タッチアップ+筆。筆は必須

今回はタッチアップペンだけで済ませることにした。まずはタッチアップ本体を入手しないことには始まらない。なんとか意識を取り戻してディーラーに電話して純正のセラミックメタリックを注文した。お値段はほぼ1000円。

トミカのMAZDA3で遊んでいる時に使ったソウルレッドクリスタルメタリックのタッチアップは近所の店で買ったホルツ製で、あれは700~800円くらいだった。1本だけなら大差ないし、そもそもセラメタのタッチアップが店で売っているのを見た覚えが無かったこともあり、探す手間も省ける純正品にしておいた。

注文したら在庫があるとのことで翌日には引き取って来た。ここでワイパーの動作も見てもらったけどおそらく無事だろうとのこと。そして同じようなことをしてガラスを割った人が何人かいる、という話を聞き、ガラスは無傷で良かったと心から思った。ボンネットの傷だけならタッチアップ1本1000円で最低限なんとかなるけど、ガラス交換になったら間違いなく桁が2つ足りない。板金でプロに直してもらってもガラスを交換するよりはおそらく安いので、これだけは本当に不幸中の幸いだった。

そういえば納車の時に受けたチュートリアルみたいなやつで、ワイパーについては絶対にやるなよ!気をつけろよ!と念押しされた気がする。その時は絶対にやらねーよ、なんて思っていたけど、半年経たずにあっさり伏線回収した。

作業開始

それでは作業開始。

傷の部分を綺麗にして、ササクレになったバリは取り除いて、エタノールで脱脂してからタッチアップを塗る。傷自体を先に平にならすという方法もあるかと思うけど、今回は凹みの段差部分が明確だったので埋める場所が分かりやすいようにあえてそのままにした。

使うのはタッチアップ本体とうすめ液、そして筆。タッチアップのフタには筆がついてくるけど、これを使えを言っている人を見たことが無いくらいお呼びではないアイテムなので、筆は別で用意する。ディーラーでもそう言われた。うすめ液は模型用のMr.カラーうすめ液で十分使えたけど、気になるならカー用品店でタッチアップ用のものを買っても良いかも。

筆に関して付け加えると、メタリックが混ざるので他で使うものと兼用せずにこれ専用に1本用意した方がいい。繊細な塗りをするわけではないので高いものでなくてもいい。今回はボンネットのエッジ部分という結構特殊な部分なので広い平筆、絵画用のナイロン筆で350円くらいのものを使った。飛び石のような小さい範囲の傷なら面相筆とか、あるいはつまようじで十分だったりする。模型用の使い捨ての筆なら筆を毎回洗う手間も無いので、うすめ液もいらないかもしれない。

タッチアップのボトルに直接筆を入れると作業性が恐ろしく悪いので、ペーパーパレットに付属の筆でちょっと出してから、それをペタペタを傷の部分に乗せていく。塗るというより乗せる、盛るくらいの気持ちで。

セラミックメタリックはボディで見ると白みたいな色だけど、塗料はどうみてもシルバーにしか見えなかった。これ塗っていいのかちょっと躊躇うくらいの色味だけど、塗ったらセラメタになるのでそのまま塗っていい(気が向いたら写真追加するかも)。

本来これくらい深い傷はパテで埋めてから塗装、が正しいんだろうけど、素人がいきなりやるパテ作業なんてだいたいうまくいかない。模型でパテを使う時は塗装する前なのでいくらでもやり直しも出来るけど、車の場合はそうもいかない。前の車の時にパテで傷を埋めたことがあるけど、パテを削るために周りの部分を余計に削ってしまってクリアを痛めて、数年後に傷よりそっちの方が気になるという本末転倒な事態を引き起こした。よって今回はパテは使わないことにした。これ以上を望むなら最初からプロに任せた方がいい。1000円でプロ並みの仕上がりを求める方が間違っている。

このやり方だと1回塗っただけでは到底傷が埋まらないので、あとはひらすらこれを繰り返していく。乾いては塗って、乾いては塗って。溶剤が抜けると塗膜がヒケるので、本当は2週間くらいかけてじっくり塗装→乾燥させるものらしいけど、せっかちなのでだいたい乾いたら塗り足してを繰り返して3日くらいで元の塗装と面を合わせるところまで来た。せっかちは塗装において失敗の元なのは分かっているけど、早く終わらせたくてたまらないのでどうしてもさっさと進めてしまう。そしてどこかで失敗しては後悔する、を毎度繰り返している。塗装はのんびりやらないと駄目だ。

ただこのままでは塗ったところの凹凸感が残ってしまうので、見た目がちょっと悪い。塗っている時点で悪いんだけど、もうちょっと何とかしたい。削って面を揃えよう。

削ると色味が変わる

タッチアップを盛りつけたところは塗ったときの気分次第で微妙に凹凸がある。もちろんできるだけ平にしようとは思っているけど、筆塗り、かつ厚塗りなのでしょうがない。うすめ液で溶かしてならす、という手もあったけどこの時はヤスリで削って仕上がることにした。削ると当然少し減るので、その分を見越して元の塗装よりちょっと厚めに高く盛り上げて置く。もう完全に使い方が色つきパテのような感じ。

両脇の元の塗装面をマスキングして、それを面があうように慎重に紙やすりで削っていく。塗装はやわらかいので目は300~400番前後を使った(はず)。模型を作る人なら作業しながら感覚的に何となく分かると思う。削って行ってマスキングした部分と面が合ったら終了。削り過ぎたらまたタッチアップを盛るところからやり直せばいい。

ヤスリがけするときのポイントは、両脇だけじゃなくて表面のほうまでマスキングすること。そっちをマスキングしていなかったので、うっかり手が滑ってボンネット表面をササッと撫でてしまい、見事に傷が入った。傷の補修作業で更なる傷を増やすのは間抜けな話なので、マスキングや養生で手を抜いてはいけない。その時は面倒くさいと思うかもしれないけど、その1分の手間を惜しんだことで10分、1時間、1日、それ以上の手間をかけてそのリカバリーをしなければならない羽目になるかもしれない。養生で手を抜くとトータルで損をする(部屋に貼っておきたいレベル)。

削って面を揃えると、ボンネット端のラインが整うので見た目の違和感が減る。ただしその代償として、削ると塗料のメタリックの配置が変わるのか、元のセラミックメタリックよりワントーン暗いシルバーっぽくなってしまう。加えて元の塗装面にはないキラキラ感が顔を出すので、光の当たり方次第ではそこそこ目立つ。メタリックどうしてもこういう特性があるので、削らずに塗りっぱなしで仕上げるのが一番きれいになるんだろうけど、どうしてもここの面は整えたかったので色に関しては多少妥協することにした。

ヤスリは最終的に2000番までかけて仕上げた。それ以上のヤスリの手持ちが無かっただけなので、あったらもっと磨いていたかもしれない。ただ元の塗装に気泡?が噛んでいたのか微妙な凹凸は結局残ってしまっている。触るかマクロの接写で寄らないと分からないレベルだけど。

パテで傷を埋めて、上から塗料を吹き付けるときれいに直せるんだろうけど、前述の通り今回は塗料がパテ代わりなのでどうしようもない。色は若干合わないけど場所が場所なので、おそらく何も知らない他人が見ても傷があることは分からない。傷があるよと伝えて見てもらったら何となく分かるかな、くらいの感じ。やった本人は見たら一発で分かるので心配いらない(?)。

ちなみにこの傷が一番目立つのは、外側じゃなくて運転席側からだったりする。

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▲補修後(よくわからん)

この写真で見てもよっぽど拡大しないと傷がどこにあるのかは分からないと思う。派手にやらかした傷ではあるけど、そのくらいの傷ともいえる。ボンネットの中心部分に飛び石喰らった方がこれよりよっぽど目立つんじゃないかな。そういう傷が増えたら一緒に板金に出して直そうと思っているけど、ありがたいことにまだそっちの傷は無い。

上からクリアーは塗っておらず、洗車するついでにコーティングのオーバーコートとして使っているスマートミストをここにもついでに塗ってクリアー代わりにしている。クリアーの役目は果たさないだろうけどないよりはマシかなと。タッチアップのクリアーも存在するらしいけど、付属の筆と同じくらい使えと言っている人を見かけない。筆でべたっとクリアー塗ってもきれいになる気がしないので塗らない方がいいのかもしれない。

ちなみに傷はワイパー2本分、2か所あるのでどちらも同じように塗るんだけど、助手席側の傷はボンネットのほぼセンターになるので車体の脇から身を乗り出して作業するのが結構大変だった。助手席側の傷の方が直すのは面倒くさい、けど傷の見えにくさそれに比例するので、そっち側の傷はもうほぼ存在ごと忘れてしまっている。

追記:1年後の経過観察

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マクロレンズを手に入れたので寄って写真を撮ってみた。

うっすら境目が見えるあたりが傷のあったところ。それより上がタッチアップで埋めたところ。削ったらシルバーっぽくなると上で書いたものの、写真で見るとこのくらい。肉眼で見るともうちょっと分かりやすいけど、でもこのくらいの距離まで寄ってはじめて分かるくらい。知らない人はまず気がつかないと思う。

クリアーが無いので塗装は徐々に剥がれてくるんじゃないかと思うけど、今のところこれを更に直そうと思うほどの変化はない。やらかした瞬間はこの世の終わりくらいの絶望感を味わったけど、今ではもう笑い話のようなものになっている。メンタルに一番効く薬はやっぱり時間経過らしい。これを直していた当初は毎日ひたすら傷のところばっかり見てたけど、今はもう洗車するときにちょっと手触りが違うので思い出すくらい。

ワイパーも一応問題なく動いている。ワイパーアームの方の傷は錆を落としてからガイアカラーのピュアブラックを塗って直した。こっちも塗膜の欠けが結構あったけど、ボディほど気を使っていなくてただ色を乗せて錆が広がらないようにしただけ。ボディより更に見えないので正直直していなくても全然分からないくらいの傷ではある。

いつも洗車する時はエンジンルームまで開けて水を拭き取って、全部終わってからワイパーを戻すので、ボンネットを開ける時にワイパーが立ったままなら気づくはずだったんだけど、あの日はちょっと考え事をしていて、何故か普段とは違う順番で先にワイパーを戻す動作をしてしまって、それが悪かったんだろうなぁと思っている。何かがいつも違うときが危ないのかもしれない。